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April 06, 2006

バスの車窓から-発電所プロジェクト

毎週月曜日、ワインスクールへ行く途中のバスの車窓から見える好きな風景に、50年間火力発電所として働き続けたBattersea Power Stationがあります。
上の写真の建物がそうです。(これはテムズ川対岸から撮影。お天気が悪いのでちょっと不気味かもしれませんが…)

始めてこの建物を見たとき、この建物の重厚なスタイルと、発電所なのに発電所でないような素晴らしいデザインに感嘆いたしました。そして同時に…フェンスが張られ、足場の組まれたこの場所…まさかこの建物壊したりしないよね…と思ったのです。

すでにこの発電所は1980年代に操業を停止していて、時間がたっている証拠でしょうか…窓ガラスが割れているのもバスからもハッキリ見えます。

Battersea Power Stationは1930年代に有名な建築家Giles Gilbert Scott氏(Sirの称号を受けていま
す。)が設計したもので、その後約50年間、ロンドン市民へ「電力」を供給するために日夜休むことなく働きつづけたのです。
(設計者Giles Gilbert Scott氏はTate Power Station-現Tate Modern Art Museum-や赤色の電話ボックスのデザインもてがけています。)

そして今、この発電所へ音楽、文化、アート、商業、生活の発信基地として新たな命を吹き込もうと”The Power Station London”というプロジェクトが始まっています。
その様子は↓のサイトからご覧頂くことができます。
http://www.thepowerstation.co.uk/project/


トラファルガー宮殿の敷地とほぼ同じくらいの広大な土地に、この旧発電所を中心とした新たな「舞台」がここにできると思うと、なんだかワクワクしてきます。
現在、プロジェクトの進行はハッキリと目には見えませんが、シンボルの白い煙突には足場がかけられ、補修補強工事が始まっているようです。

また、広大な敷地を囲うフェンスにはそんな発電所をシンボルとした「古」と「新」の融合が埋め込まれています。

その中で一番好きな写真…。それは発電所のコントロール室でコントラバスを奏でる男性が写っているもの。
これは、この発電所がJazzをはじめとする音楽を楽しめる場所として生まれ変わることを示しているのです。

使われなくなった発電所の装置、窓、壁、煙突それぞれにまだまだ「命」があるのだ…と感じずにはいられない素敵な写真デザインに惚れ込んでいる私であります。


このプロジェクトが完全に終了するには、おそらく長い長い年月がかかると思います。
ですが、ぜひともこの歴史的建物を最大限に生かしたプロジェクトを成功させて欲しい…そう強く思うのです。

もちろん、巨大プロジェクトには付きものの「経済的な面」のいろいろな「しこり」だとか「モヤモヤ」あるいは、環境への問題もたくさん山積みだとは思うのですが、古くなったら壊せばいい…捨てればいい…という風潮のある現代の世の中で、こうした「保存」「大切にする」という心をこの建物をとおして多くの人が気づいてくれるといいな…と純粋に思えるプロジェクトに出会えたことに嬉しさを感じています。

だから、私はいつもこの路線に乗る時は必ず「2階席」に座って、Battersea Power Stationの今と将来の姿を重ね合わせながら、「バスの車窓」を楽しむのです。

(1階席からは見えないんですよ…)

発電所の昔の姿は↓のサイトからご覧頂けます。
http://www.vauxhallsociety.org.uk/BatterseaPowerStation.html


そして、使われなくなった発電所の内部の様子をBBCのサイト↓でも見ることが出来ます。
http://news.bbc.co.uk

最後に、こうした歴史的文化遺産を残そうとする動きを、とある1つの事実と重ね合わせてみました…。
日本にとって歴史的に貴重な建物…それは皇后美智子さまの生家です。
すでに今となっては取り壊されて公園になっていると思いますが、なぜ取り壊してしまう選択しかできなかったのでしょうか…。
専門家は遺産相続だの、土地代だのいろいろ法にからんだことを言っていましたが、1つの歴史として見た場合に、私たちはこの建物を保存すべきだったのではないでしょうか?
しかも、美智子さまのお母様が亡くなられた後、このご自宅は相続税支払いとして物納され「国の財産」となっていたそうですから、この結果に私は個人的に憤慨しています。
旧正田邸には皇后さまの生家という事実だけでなく、建築史の「教科書」として重要であったのではないか、正田家という家柄だからこそ持ちえた当時の「美」の結集がそこにあったのではないかとも思うのです。

木と紙でできていた日本独特の街並は火災や空襲で消失してしまいましたが、それでも「守れる」ものはたくさんあるはずです。
今日もどこかで日本の歴史が「屑」となり消えているのか…と、思いたくはありませんが、「守るべきもの」をきちんと見つけられる人が増えてくれれば、その「屑」も最小限にとどめられるのではないでしょうか…。

参考サイト:旧正田邸



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Comments on "バスの車窓から-発電所プロジェクト"

 

Anonymous busuke said ... (April 06, 2006) : 

家の祖父母がドイツに来て驚いていた点に古い由緒ある建物が保存されているというのがありました。
ドイツでは建築から50年以上経つ建物は取り壊しが禁止されているそうです。
そうやって、伝統ある町並みを守っているのですよね。将来的に見ても、伝統を守るという意味においても、歴史を残すという点においても、こういった古い建物は日本でも残されるべきです。
日本のかやぶき屋根の住宅などが手入れもされずにそのまま朽ち果てていってしまうというのをドイツの番組で見たことがあります。ドイツ人の建築家の方がとても残念だと言っていました。
近代化ばかりに目が向いて、大切な自分達のアイデンティティを怠っていると、将来的にツケが回ってくるのではないでしょうか。

 

Blogger Bambina said ... (April 06, 2006) : 

busukeさん
本当に同感です。
観光目的のものだけが保存され、それ以外の身近な歴史のあるものは次々に消されてしまう日本…。
早くその間違えと過ちに気がついて欲しいです。そして他国の伝統を守るという意識を見習っていただきたい。
また伝統ある「巧の技」これは生きた人間しか伝えられないのですから、私たちももっと日本の文化を大切にそして率先して身につけたいものです。
そう言えば、山村の築数百年の素晴らしい日本家屋を見事に改築したドイツ人の建築家の方がいらっしゃるのをテレビで拝見したことがあります。
こうした方々の貢献は非常に大きいですよね。
日本人が声をあげないのなら、外国の方に協力していただかないといけないかな…。

 

Blogger Cha Cha said ... (April 07, 2006) : 

旧正田邸の話、大変参考になりました。こういう建物が保存されることなく、壊されてしまうのは、大変残念なことですね。

そういえば、実家のある逗子にも、私の育ったころは、こういった洋館が海のほうにあったのですが、最近になって日本に帰ったとき、気がついたのですが、こういったところが、全部壊されて、マンションがどんどん、建っていました。なんとなく、淋しいですね。

 

Blogger Bambina said ... (April 07, 2006) : 

cha chaさん
逗子の洋館って、とっても素敵なイメージがあります。
が、ここでもはやり、時代の波とともに消されてしまったのですか…。現代の建物はコンクリートかガラスだけ…。一時代前はその全てがきれいに組み合わされていたように思います。大切な物って何なんでしょうね…。

 

Blogger Minako said ... (April 09, 2006) : 

皆様にまったく同感です。日本人は本当に簡単に建物を壊してしまいます。耐震設計になっていない、保存にお金がかかる、など理由はいくらでも探してきます。Lost Japanといった題名だったと思いますが日本のこういった美意識の欠如を嘆き悲しんでいる日本美に傾倒しているアメリカ人(だったと思う・・)が書いた本を読みました。うなずくほかないなあと思ったことを思い出しました。
こういう日本人の考え方って「諸行無常」とかからきているのかなと真剣に考えたりしたこともあります。

 

Blogger Bambina said ... (April 09, 2006) : 

Minakoさん
私も日本の美をしたって下さる外国の方の気持ちから学ぶことが多いと思います。
私たちが日頃気づかないような点を「美しい」「素晴らしい」と思うだけでなく、それらを自分自身の生活の中へ取り入れてくださるこうした方々の姿勢をもっと見習いたいと思います。

ーーーー余談ーーーー
アメリカ人建築家のフランク・ロイド氏は日本の「美」とすばらしい「職人技術」(釘なしの柱や天井の接ぎ木の技術など)に魅了され、アメリカ国内、日本国内にある彼のデザインした建物には「日本美」と「西洋美」そして技術がつまっています。
旧帝国ホテルも彼の作品の1つです。実は関東大震災で倒壊しなかった建物の1つなのですが、これはロイド氏が日本の地震の危険性を知った上で設計した結果だった…ということは今でも有名です。それが、そのままそっくり移築され、現在でもその建物が残っているんですよ。

 

Blogger ジャパワイフ said ... (April 13, 2006) : 

古き良きものを残していくって言うのは自分の国の文化を守り、残していくと言う事ですし、そういった国の文化はお金には変えがたい価値があることだと思います。それを壊す方法しか考えられない価値の判らない目先の今年か見ていない人が多い事が悲しいですね。文化は数十年数百年では気づけないというのに・・・。ところで、フランク・ロイド氏の帝国ホテルですが、愛知県の昭和村に保存されているんですよね。名古屋に住んでいたときに行きました。

 

Blogger ジャパワイフ said ... (April 13, 2006) : 

あ、そうそう、ロイド氏の話をしていたら書く事忘れちゃいましたが、asahi.comの漫歩寄語というコラムに中国に50年代旧西ドイツの建築家によってデザインされた社会主義時代の秘密工場が、現在アートの発信地と変わり、マスコミや若者の間で話題になっていると云う記事を読みました。banbinaさんは情報に精通しているので知っていたかも知れませんが、もし、ご存知でいなければhttp://www.asahi.com/world/china/manpo/060118.htmlでどうぞ。ロンドンの発電所と同じ発想で現代に生まれ変わった建物です。私は実際にいた事はないですが、この記事を読んで是非行きたくなりました。
今年の夏に旦那さんが中国に留学(1ヶ月だけ)するので、行ってみようかなぁ。

 

Blogger Bambina said ... (April 16, 2006) : 

ジャパワイフさん
秘密工場のこと、私も聞いたことがあります!
すっかり忘れていましたが、ジャパワイフさんのコメントで思い出しました!
随分昔にお付き合いしていた上海在住の米国人の建築デザイナーさんが、上海のアートがすごく面白いんだ…という話をされていて、それがきっかけで上海にも行ったのですが、いやぁ中国のエネルギーはすごく刺激になりました!行かれたらきっといい経験が出来ると思いますよ!
ご主人様、中国留学ですかぁ。いいですね〜!

 

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