イランはテヘランのこと。
i怒濤のごとく過ぎ去った7月。 日本への里帰りを終えた直後にイランの首都テヘランを訪れたのですが、いろいろ感じた事や書きたい事があり過ぎて、しばらく心がおさまるまで待っておりました。 テヘラン行き、テヘラン長期滞在の可能性が浮上してからはとにかくイランのことを知りたくて本を読みあさっておりました。 1.定番ですね… Lonely Planet IRAN 2.Reading Lolita in Tehran 時代背景がイスラム革命の前後と革命中のため、この本のイメージのままテヘランを訪れるとすごい「ギャップ」を感じることになります。 西洋文学をとおして、当時のテヘランの女性達、社会の移り変わりを描写していて非常に興味深い1冊でした。 3.Lonley Planet 版 『ペルシャ語会話集(ファルシ語)』 やっぱり「ありがとう」くらいはペルシャ語で言えるようになっておきたい…と思って購入。 簡単に文法事項もきっちり掲載されているし、小型なので持ち運びに便利。 4.イランを知るための65章 これは1読の価値あり! とにかくイランの歴史、文化、社会、宗教などなど、たくさんのことが記載されていて、イランへ行くなら事前に読んでおく事をお薦め。 5.はじめてのイラン国語・書き方読み方 6.CDエクスプレス ペルシャ語 言葉については上の2冊を事前に目を通しておきました。 日本ースイスの機内、スイスーイランの機内でもたっぷり勉強。 イランの公用語は「ペルシャ語(アラビア語の影響を受け『ファルシ』とも言う。映画シリアナの1シーンで『お前、ファルシを喋らないな!』という台詞もありました。)」ですが、 多民族国家のため、地域により言語が異なっています。ペルシャ語はイランの他アフガニスタンでも使われています。 文字はアラビア文字ですが、文法や単語は「インドーヨーロッパ語」に属するペルシャ語はアラビア語のそれらとは全く異なります。 ある本の中で「日本で使う文字は中国語で使う漢字。でも文法や単語だとかは全く別であることと同じ。」なんとかいう表現がありました。まさしくその通り。各アルファベットは読めてもつなげると、全く別物なんです…。 ただ、アラビア語の影響も大きいことは確かで、アラビア語と共有する単語もあります。 また、フランスとのつながりが強かったこともあり、「ありがとう」は「Merci(rを巻き舌で)」で全然OKなんです。 ずっと、ペルシャ語の「ありがとう」=「motashakkeram」をモゴモゴ言っていたのですが、 現地の女性と街散策をしている時にいつも「メルシ、メルシ」と聞こえるので「なぜ?」と尋ねたところ、「フランス語の影響があるからmerciで通じるのよ。」と…。 それ以来、「メルシ」を大活用! 文字の作りは表音文字なので、どことなく韓国語の仕組みと似ているな〜と思いました。 そう考えると覚えやすくなったのですが、厄介なことに文の「頭、語中、語尾」のどこにアルファベットが来るかで文字のスタイルが変化するのです。 これを覚えるのはちょいと時間がいります…。しかも似ている文字が結構あるので…。 この文字変化を克服すれば、ペルシャ語への第一歩は踏み込めそうです。 イランの歴史はペルシャ帝国と深いつながりがあることはご存知だと思います。 彼らは民族から行くとアラブ人ではありません。ペルシャ人という枠になります。 ある本では「自分たち(ペルシャ人)とアラブ人とはハッキリ区別したがる。」ということも目にしました。 しかしながら、中央アジア、アフガニスタン、パキスタン、シリア、トルコなどの国境とお隣同士ということもあり、イランの民族は非常に多様であります。 また、アフガニスタンが戦火のまっただ中であったとき、イランはたくさんの難民を受け入れた実績もあります。 今日でもそうした異国民の受け入れは比較的柔軟のようです。 アルメニア系の人が暮らす地方もあり、ここではキリスト教が認められています。 歴史で目にした「ゾロアスター教」、今では大変な少数派となりましたが、まだまだ信仰深くその教えを受け継ぐ人々がいるのだそうです。 異教からイスラム教への改宗は認められていますが、イスラム教から異教への改宗は認められていません。 イランとは「イラン・イスラム共和国 Islamic Republic of Iran」の略。 略して呼ばれるせいか、イランにおいては、イスラム教の教えが政治、法律、社会の秩序であることを忘れられているというか知られていないですね…。 イランがイスラム共和国になった経緯は、様々な資料があるのでそちらを参考にしていただきたいと思います。(例:google検索で「イスラム革命、イラン」とでも入れていただければたくさんの資料がhitします。) ちなみに彼らの「イスラム教」は「シーア派」です。このことについて書き始めると終わらないので、ここでは省略します。 詳しい事はgoogle検索で「イスラム教、シーア派」で検索してみてください。 同じイスラム教の信仰でもテヘランの方々は比較的自由な感じがしました。 というのも、1日3回のお祈りなのですが、特にモスクに「ダぁ〜っ!」と人が流れるわけでもなく、街中にコーランが響き渡るわけでもなく、道ばたでお祈りするわけでもなく…。 話によると、「大切なのは『心』の信仰なんだよ。」とのこと。 なるほど。イタリアのアラブ人街はなんと礼拝時間(1日4回)になると公共の道路まで塞いでお祈りするらしいですから、それと比べると「なるほど、『心』ね…」と納得です。 ですが、イスラムの教えはきちんと守らないと「法律違反」で御用です。 まず、アルコール持ち込み&飲酒は禁止。女性だけでなく男性も肌を露出する服装はNG。 例えば男性の「半ズボン」は×です。 皆が気になる女性のファッションなんですが、これはとにかく「凄い!!!」の一言。 私が足を運んだエリアではとにかく「おしゃれな女性」が一杯で、目から鱗でした。 スカーフ(へジャブ)は色とりどりの美しいものを、美しくかぶり(かぶるというか、頭の後ろの方にチョコンと載せているだけのような…)、洋服は色鮮やかな上着、パンツ、時にはバミューダーパンツの人もいたりで、靴もミュールの人がいたりして、アクセサリーじゃらじゃら…。お化粧もバッチリ! 大きめサングラスに綺麗なお顔…、もう思わず見とれてしまいます。 正直「えぇえええっ!こんなのアリ???」的状態でした。 パリーテヘランの飛行機移動なんかも、テヘラン到着数分前までへジャブをつける人はいないし…。(ちなみにこの日はエアーフランス)しかも女性は皆、到着1時間前からお化粧パタパタし始めるし。 レストランではスルスルっ〜っとへジャブが落ちたり…。でも慌てるようでもなく…。 きっと地域・エリアによっても随分違うのでしょうが、少なくても私が目にした多くの女性達は「おしゃれ、華麗、キラキラ、堂々としている」人ばかりでした。 車も運転しますし、仕事もしています。(とあるオフィスの70%はなんと女性!) カフェやお買い物にも女性だけで行きますし、家族以外(らしき)男性とも手をつないでデートしてます。 男性も女性を敬いますし、「イスラム」と聞いて想像するものとは随分かけ離れておりました。 もっとも、革命前のイランは非常に自由で、女性の地位も高い国でした。 へジャブやチャドールの着用はしなくてよい国だったのですから、現状もちょっぴり納得です。 もちろん、私の知らない内情はあると思います。 服装警官やら、モール出口での服装チェック、秘密警察だとか…。 そして保守的なイスラム家庭の方々もいらっしゃるでしょうから、こういうのは実際に暮らしてみないと見えて来ないものだと思います。 さて、イランで革命後も流行っているもの… それは「衛星放送」です。 EURO NEWS、アラビア語字幕の西洋映画、CNN、BBCも入って来ます。 が!!! CNNとBBCは妨害電波により見れませ〜ん!画像が固まっている状態のままです。 そういえば、ブッシュとプーチンの会見のニュースが流れたとき、面白い現象が! なぜかブッシュの会見になると画像が乱れる!!!これは面白かった。 ま、「ざまぁ見ろ…」という感じもしますが…。 その話なんですが…、見ました見ました…。反米・反イスラエルの壁看板。 ちなみに「イスラエル」とは呼ばないんですよ…「シオニストレジーム」という呼び方なんです。こんなご時世ですから、この壁看板は非常に感慨深いものが…。 さすがに写真を撮る余裕と勇気はございませんでした…。 そうそう、イランでは写真撮影が出来る場所がとっても微妙で、今回は慣れないこともあってあまり写真を撮っていません。 というか、自分の「目」で、自分の脳裏にしっかりテヘランの街や人を焼き付けることに大忙しだったこともあるのですが…。 テヘランの大気汚染はとても深刻です。 冬になると外出すら出来なかったり、光化学スモッグとかで亡くなる人も出るそうです…。 確かに、あの交通量と走る車を見ればそれも納得です。しかも1970年代のイラン製の車が多く走っていて、この車が大気汚染の原因ともなる排気ガスを大量にまき散らしているのです。しかし、なんとこの古い車種は年内に政府が買い取るとか!?本格的に大気汚染問題に乗り出したようです。それに新しいトンネルも完成したので、開通すれば交通渋滞緩和にもなる読みなんですが…。 ちなみに、新しい車は「プジョー」が多いです。イラン国内で製造されているのでたくさん走っているのです。 それから「メルセデスベンツ」「BMW」なんかも最近ではよく見かけるようになりました。 実は関税がべらぼ〜に高く、市場の値段の倍が税金だとか…。 そんな話を聞くと高級外車に乗っている人を見る度に「すごいお金持ち!?」と反応してしまいます。 でも現地の女性の話では「車はただでさえ高い物なのに、現状の車の値段は高すぎて一般の人達は簡単に買い換えなんてできないのよ。」と言っておりました。 そんな彼女は2児の母。とっても素敵な女性で、モールに立ち寄って一緒に母の日用のスカーフ(へジャブに使う)を選びました。 この時感じたのが、テヘランの女性達がいかにスカーフ1つをとってもお洒落に気を使っているかということです。 何枚も、何枚も取り出しては試着をし、お店のカウンターが山盛りになっても納得するまで試着します。 私も1つ買っておけば良かったなぁっと、ちょっと後悔中。 そうそう、あと1つ…。 テヘランの裕福層では「鼻の整形手術」が流行っています。 時々、お鼻のてっぺんにシールみたいなのを張った女性に出くわすのですが、それはその証拠。 と、だぁ〜っと駆け足で書きたい事を書きましたが、本当はここに書ききれないくらいたくさんの「見た事」「感じた事」「思った事」があるんです。 でも、夜も更けて来たので今日はこの辺で終わりにします。 また気が向いたら書きます。 ちなみにIn Tutto il Mondoにも滞在日記を数少ない写真と一緒にちょこちょこっと載せていますので、よかったら覗いてみてください。 最後に面白いサイトを発見しました。 http://tehran24.com テヘランの街の写真が見れますよ。 |
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